幸福の味2(スマホ版)(二次創作風)
彼の気をどうやって惹けるか考えて
お風呂でぶくぶくしたり、
ママのイスを借りてそこで一日中考えたり。
だけどどうにもできないことをどうにかする
のは到底無理な事くらいこどもの私だって
頭では分かっていた。
そうしている間に幾つもの季節を迎え、
沢山の別れもあり、
心の成長と共に身体の成長も
追い付いてきている気がした。
少し大人になった私は
相も変わらず家族が大好きで。
成人式が終わって、すぐにエリックさんに
想いを伝えてみたけれど、叶うはずもなく。
両親も着実に年を重ねていた。
ある日、ヤーノ市場を歩いていると
運命的な出逢いをしてしまった。
サラサラなアッシュの髪に白い肌。
性格も優しそうな彼。
世間では一目惚れっていうらしいけど。
だけど彼は、旅人だった。
旅人と王族は恋人関係にはなれない。
家族が大好きな私が
家族離れを決意する瞬間だった。
豪華な暮らしなんて要らない、
家族も説得して駄目ならこうするしか
方法がなかった。
それは紛れもなく"おとなの私"だから
できた決断だと思う。
彼を連れて幸福の塔へ。
あの日、指をくわえて見ている事しか出来なかった
"可哀想な女の子"はもういない。
初めて心が開けた瞬間だった。
自由、愛情、幸福。
そのどれもが輝いて見えて。
恋は盲目なんてよくいった言葉だと思うけれど
家族も豪華な暮らしも
その時の私には霞んで見えていた。
続く